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実は違いがある!?Partition Managerのホットバックアップオプション 
Partition Managerには様々な設定項目がありますが、今回記事ではその中の1つである[ホット バックアップオプション]について紹介したいと思います。
ホットバックアップとはヘルプの説明にある通りバックアップ/コピー操作の一部で、ロックされたパーティション等でもコンピューターを再起動せずにディスクに対して処理を行うことができる機能です。設定を使用しないでバックアップする場合は処理データに排他的にアクセスできないため、バックアップ/コピー操作をする度にシステムの再起動が必要となる場合があります。一時的にシステムを落とした状態でバックアップする事をコールドバックアップと言います。
ホットバックアップオプションには以下の2つオプションが存在するのをご存じでしょうか。
- Microsoft ボリューム シャドウ コピー サービス
- PowerX ホット バックアップ
これらのオプションは冒頭で説明したホットバックアップをどのエンジンに担当させるかユーザーが任意に選択することができます。例えば美容室で髪を切る時に担当者を選ぶような感じだと思ってください。主な違いについては本文中にて紹介したいと思います。
Partition Managerのデフォルトの設定では図のように[Microsoft ボリューム シャドウ コピー サービス]が設定されています。
ホット バックアップのプルダウンを図のように選択することによって設定変更ができます。
ホット バックアップオプションにはMicrosoft ボリューム シャドウ コピー サービス(以下 VSS) とPowerX ホット バックアップ(以下 ホットバックアップ)の2つありますが、どちらを使った場合でもバックアップは正常に行えます。ではこの2つのホット バックアップオプションの違いは何なのか、それぞれメリット、デメリットを含めて見ていきたいと思います。
まずは下記表を見てください。こちらはPartition Managerのホットバックアップ設定の説明欄にある内容を元にメリット、デメリットに分けて補足を追加し簡単にまとめたものになります。
メリット | デメリット | |
VSS | ・Windowsと同じMicrosoft社製 ・高い信頼性がある |
・300MB以上空き領域が必要 ・XP以降でしか使えない |
ホットバックアップ | ・少ない空き領域で使える ・XP以前のOSでも使える |
・Paragon社製のPowerXエンジンを 使用している。知名度は Microsoft社製>Paragon社製 |
VSSでできない面をカバーしているのがホットバックアップの特徴となっているようです。条件によってはホットバックアップを使用する方が便利な場合があるとお考えください。
この表だけを見るとどちらも使える環境(XP以降のOSで300MB以上空きがある)の場合だとホットバックアップよりVSSの方が優れているように見えますね。ホットバックアップを使うメリットは他にないのか確かめるために、どちらも使える同じ環境で実際にバックアップをとってみて、速度やアーカイブサイズに差異があるのかどうか確かめてみました。
検証に使った環境は以下の通りです。Windows7のディスク全体を別のパーティションにバックアップして検証を行いました。- システム : Windows 7 (32ビット版)
- バックアップ元 : 1490GB SATA HDD
※ドライブ内には[システム予約領域(100MB)]と[システム(39GB)]が存在している状態 - バックアップ保存先 : 150GB SATA HDD
※全領域にNTFSで作成したパーティションを用意
まずはVSSを確認してみましょう
デフォルトの設定でVSSに指定されていますから、その他の設定については特に変更せずにシステムのあるディスクのハードディスク全体をバックアップしてみました。
バックアップ完了の画面がこちらです。
処理時間は4分08秒でした。
次にホットバックアップを試してみましょう。
ホットバックアップの場合はメニューバーからツールを選び設定を選択します。
設定画面が表示されましたら、ホットバックアップオプションを選択しプルダウンメニューから図のようにホットバックアップを選択します。
その他の設定はデフォルトのままで同じくシステムのあるディスクのハードディスク全体をバックアップしてみました。
バックアップ完了の画面がこちらです。
処理時間は3分59秒でした。
約8秒程度ホットバックアップの方が処理は早いのですが多少なのでほぼ同じくらいかと思われます。
デフォルトの設定ではホットバックアップオプションにより処理速度にそんなに差異がでませんでしたが、バックアップしたアーカイブのサイズにはもう少し分かりやすく差異が見られました。
VSSの方は8.92GBだったのに対し、ホットバックアップの方は8.50GBと400MB分容量が少なくなっていました。
処理時間の違いだけでなくホットバックアップエンジンを変えることによってバックアップイメージのサイズにも多少の差異が起きるようです。
ホットバックアップオプション以外の設定はデフォルトのため圧縮の設定が「低圧縮」のままでしたが、ホットバックアップエンジンの違いで圧縮率が違ってくるようなので「高圧縮」の場合も併せて検証し、低圧縮とともに以下の表にまとめてみました。
処理時間 | アーカイブサイズ | |
VSS(低圧縮) | 4分08秒 | 8.92GB |
ホットバックアップ(低圧縮) | 3分59秒 | 8.50GB |
VSS(高圧縮) | 11分07秒 | 5.46GB |
ホットバックアップ(高圧縮) | 10分45秒 | 5.23GB |
高圧縮の場合だとVSSに比べてホットバックアップは30秒近く処理時間が短く完了しました。アーカイブイメージの容量も200MBばかりホットバックアップの方が少なくなっています。高圧縮にすると処理時間も長くなるためデフォルトの場合より差が出るようです。デフォルトの低圧縮と高圧縮のバックアップテストの結果よりホットバックアップはVSSより少しばかり処理速度が早く、アーカイブサイズも少なく済むということがわかりました。
今回はさほど容量を使ってないシステムディスクで検証しましたが、大容量のファイルを多数含むディスクで検証した場合はもっと顕著に差が出てくると思われます。ハードディスクの容量を節約したい、もしくは短い時間でバックアップしたいとお考えの方はホットバックアップを使ってみてはいかがでしょうか。
※計測時間等についてはパソコンのスペック、バックアップ対象の容量、処理実行中に同時に動いているプロセスなどご使用の環境によって変動する場合がありますのでご注意ください。